T様のリフォーム物語
『完成してから1年も経ってからの 見学会とはいかに?』
と思われる方も多いと思いますが、
それには、
こんな事情がありました。
そもそもお施主様のリフォームのご要望は?
都会の真ん中も真ん中、地下鉄新栄から歩いて5分とかからない非常にうらやましい立地。しかもおひとりで暮らすには、広すぎる建物です。なのに、現状は、大変古い作業場兼ご自宅。大正時代から手を付けられないまま現在に至っています。生活の主要部分はほとんど元作業場である土間での生活。天井はほぼ10メートル近くあり、照明を付けても薄暗く、夏は涼しいかもしれませんが、冬はとても寒い。トイレは外にあり、雨が降ったら傘が要ります。こんなに言うと、ちょっと失礼かも!ごめんなさい。
とはいえ、長年住み慣れた家は、私たちが思うほど不便はないと仰っていましたが、これから先の事を考えて、段差を無くし今より少しだけ住みやすい家になればよい。という、とても消極的なご希望でした。もちろん予算もなるべく少なく。
約4カ月の打ち合わせを経て完成に至りました。
まずは、
リフォームの前に長年手付かずだった物の整理から。
2代前の箪笥が何棹も、玄関脇にあった箪笥からは、先代が京染店を営んでいた時に使われていた、膨大な数の染め見本の反物が出てきました。昔は着物は白生地を買って染物屋さんで見本を見て染めてもらってました。その染め見本です。子供の柄やお年寄りの柄洋服のような柄…出るわ出るわ!ご本人からすると別に珍しくもないものでも、我々からすると宝の山。こんな貴重なものはなかなか手に入らないものです。しかも、タダで!!
普通で考えると、こんな町の中心地で、100坪程の土地があったら、皆さんどうします?
売ってしまうかマンションを建てるか、駐車場にするか・・・
でしょ?でも、そんなことは考えもせずに
『ここを直して住む』
それだけでもご先祖様は、どんなにお喜びでしょう~
しかも、ご先祖が一生懸命にお仕事をされていた証しを、部屋のあちらこちらにディスプレーとして使いました。
何ということ!上から垂らすと丁度いい長さになるのです。
贅沢にこれだけ使っても、まだまだ残りました。
では、その生地で作った作品と共に
「リフォーム完成見学会」をしようではないか!ということになった訳です。
『今から作るの~?』ってことです